6月, 2016年

ポーランド公演を前に 〜杜季女に聞く〜第二回

2016-06-13
ヴィラヌフ宮殿でのコラボレーション

ヴィラヌフ宮殿でのコラボレーション

ポーランド公演を前に    杜季女に聞く

第二回

 

☆2014年にもリトアニア公演をなさいました。この時にはポーランドでも公演なさいましたが、どういう経緯でいらしたのでしょう。

 

╶─日本リトアニア友好協会の中にポーランドとの友好にもとても力を入れている方がいらしたのです。杉浦千畝さんを題材にしたオペラを作曲した安藤由布樹さんです。安藤さんは合唱指導もしていらっしゃいます。

ポーランドでは現地の民間人有志が強く支援してくださいました。

 

☆今回はポーランドだけでの公演とワークショップとのことですが……。

 

ポーランドでは、ワレサ氏と共に連帯の活動をした日本人梅田芳穂さんという、ポーランドでは伝記も出版されている有名な方がいらして、その方のお嬢さんのHanaさんが日本文化にとても興味をお持ちなのです。日本にも舞の勉強にいらしたことがあり、今回のポーランド公演では「文月」と「菜の葉」を舞ってくれます。舞の筋のよい方です。ポーランドの方に指導してもよいと意欲的です。

ポーランドのブロツワフが今年のEU文化首都に選ばれてさまざまな文化行事が行われます。今回はブロツワフを中心にしてポーランドの5か所をまわる予定です。

現地に民間の熱心な支援者がいてくださることは大変ありがたいことです。こちらが行くといっても受け入れてくださる体制がなければ公演を実現することは絶対出来ません。人脈が必要です。それと同時に、日本から行くことで外国の日本文化を愛するひとたちをこちら側からサポートすることにもなるのです。

 

☆双方向の文化交流ができるのはすばらしいことだと思います。外国で公演なさるということは手続きとか衣裳やカツラなどの荷物の多さとか大変なことが色々おありだと思いますが、一番のご苦労は何でしょう。

 

╶─照明などのイメージがなかなか伝えられないことです。地唄舞は舞台装置があれこれ必要なものではありませんが、それでも月とか風とか日本のイメージとは全然違うものになってしまうので、そのあたりが苦心するところです。

今回は化粧師さん、尺八の方、花崎しのさんとご一緒です。着付師さんやカツラ担当の方をお願いしていないので、帯をつけ帯にするなど工夫して乗り切りたいと思います。

 

☆今回のポーランド公演でとくにお伝えになりたいことは?

 

今回はちゃんとしたワークショップを四、五回やる予定です。そこで、日本の丹田を芯とした省エネの美しい動きを是非理解していただき、好きになってほしいと思います。また日本の音楽に親しんでいただきたいです。

ポーランドの曲もたくさんやる予定です。アート系のものには国境はなくわかりあえることを感じて、理解していただけたらと思います。日本の中でも地唄舞は色々な音楽、大和楽や長唄でもやっていますから、あちらの音楽での地唄舞の動きというようなこともこれからはとりいれていきたいです。

九月にはポーランドの三人のミュージシャンと一緒に紀尾井ホールや高輪区民センターで公演をする予定です。

また今後は三鷹のお稽古場で外国人対象に地唄舞の一日体験教室なども開いてみたいと考えています。東京都もこのような活動を支援したいということでした。

 

☆興味深い試みが目白押しです。先生の播かれた地唄舞の種が海外で大きく花を咲かせていくことが楽しみです。

文責 珠真女

 

つづく

 

ポーランド公演を前に 〜杜季女に聞く〜第一回

2016-06-08

第一回

花崎杜季女師は2016年6月17日から6月30日ポーランドで地唄舞の公演とワークショップを行います。ポーランド公演を前にお話を伺いました。

リトアニア取材

☆海外に地唄舞の指導や公演にいらっしゃることになったきっかけについてお教えください。

╶─理由は二つあります。残念ながら日本人は自国の文化の素晴らしさを海外での評価から気づいて再認識する傾向があります。とくに邦楽ものについては若い方々に受け入れられない時期が長くありました。そこで、微力ですが海外の方に少しでも地唄舞を知っていただきその魅力をお伝えできれば、逆に海外から日本にむけて地唄舞を発信できるのではないかと考えました。

もう一つの理由は、自分でいうのはおこがましいことかもしれませんが、芸術(アート)文化といったものは、言葉がわからなくても叫ばなくてもわかりあえる心の交流、世界平和への道だと思っています。

☆これまでの海外でのお仕事についてお聴かせください。

╶─╴最初は夫のアメリカ転勤のときです。あちらで頼まれて指導しました。でもこの時には地唄舞を周囲のアメリカ人に充分理解してもらえなかったと思います。和太鼓と一緒の公演でも、太鼓はバンバンと派手に終わるものですが、私は地唄舞らしいフェードアウトしていく静かな終わり方、日本的な余韻に固執して、柔軟さに欠けていたことを反省しています。

その中で印象的なのは、戦時中カリフォルニアでの日系人の強制収容所で、ある日本人が月を眺めながら引き離されている家族を思い語りかける詞に振付けしたことです。またどこかで再演したいと願っています。

☆長谷川等伯の『松林図屏風』は日本美術の最高峰ともいわれていますけれど、あの絵を一瞥してフンという感じで無関心に通り過ぎていった外国の方を見たことがあります。ああいう「間」や「余韻」を美しいとは感じないのと同じことですね。外国の方に限らず、日本人にもお能のような芸術のかたちに退屈しか感じないひとはたくさんいますので。

╶─どこの国にも精神性を考えるひとたちとそういうものに重きをおかないひとたちがいます。恩師の閑崎ひで女先生のところには、モーリス・ベジャールのバレエ団のプリンシパルの女性、ナタリーさんという名前でしたが、地唄舞を習いにいらしてこともあるくらいです。モーリス・ベジャールは日本文化にも造詣が深く三島由紀夫をテーマにした振付などもしていますし……。

恩師のひで女先生はパリやデンマークで公演を行い高く評価されていました。平成二年にフランス芸術文化勲章シュバリエを受賞していらっしゃいます。

☆アメリカからご帰国なさって、その後の最初の海外公演はパリで

した。

╶─「無駄を極力排除し持続力を付ける動き」というテーマで、その中の一つとして地唄舞を持っていきたいというお話を、パリマラソンに参加なさる資生堂のランナー松田さん、東海大学教授の中村多仁子(芸名多仁女)さんから頂きました。東海大学はスポーツ科学に力を入れていて忍者のような和の動き、体育的潜在能力の研究で知られ、当時、末次選手の忍者走法が脚光を浴びており、話題となっていました。

この公演で確かな手応えを感じました。 ヨーロッパのほうが地唄舞を理解してくれると感じました。

☆次の公演はリトアニアでしたが、なぜリトアニアだったのでしょう。

╶─色々一段落して時間的な余裕ができたことや、これからグローバル化が益々進む世界で、地唄舞という日本文化をもっと広めたいと思いご相談した方が、たまたま日本リトアニア友好協会の理事の方

だったのです。当時の在リトアニア日本大使白石和子氏も文化交流に関心の高い方でした。

それでリトアニアがどのような国か知りたくなり、まず旅行者として行ってみました。静かな国で日本の精神性に似たもの、共通するものを感じました。キリスト教の国ですが、原始信仰が滅ぼされないでまだ生きていて、森の中にトーテムポールのような像もあり精霊の世界が生きているようでした。また、二十年前までソビエト連邦の支配下で属国でしたから、抑圧されてきた歴史があり、変わろうとしつつ、心の中にものをためながら生きている人たちだと思いました。

このような国なら地唄舞が理解されるだろう、是非地唄舞を観ていただきたいと思い、友好協会の関係者の皆様のお力もいただき2012年リトアニア公演を実現しました。

☆リトアニア公演の反応は如何でしたか。

╶─観客の皆さんの集中力がすばらしく、舞い終えてもしーんとしていてどうしたのかと思っていたら、その後熱い拍手でスタンディングオーベーションをしてくださいましたので感動しました。

リトアニアの中でも都市によっての観客の雰囲気の違いはありました。首都のビルニスは日本の東京の感じです。観客は少しシャイでクールな感じでした。カウナスは場所的には京都のような文化都市で気質的には大阪のようなところでした。ワークショップでは大変盛り上がりました。

カウナスにはオーグステという、日本が大好きで日本文化について子どもたちに教えている方がいます。私費で日本文化センター「鶴」を作っていらして、そこには着物もあるのです。そこに通っている子どもたちが着物で来てくれました。オーグステが京都で花嫁さんの衣裳を買い集めてきたり、ご両親が日本旅行のおみやげで買ってきたもので、それを背が高くてもきちんと着つけているのです。

リトアニア公演を通じて感じたことは、皆さんとても日本が好きで興味をもってくださっているということです。若者はネットで知った現代の日本の文化を、そして、年長者は、日露戦争で、ロシアに勝利した歴史に対しての敬意をもたれていることを感じました。

何より、地唄舞に対して、静の中にある動を感じて頂けたというアンケート結果に、手ごたえを感じました。

リトアニアには長い間自由な言論がなかったので、国民の何より

の癒しは音楽でした。音楽がとても盛んです。日本の東日本大震災のあとに一本の松の木が津波に耐え残ったことに触発されて「一本の樫の木」という曲を送ってくれましたので、その曲に振付をして舞いました。樫の木が風雨に耐えて立っていることを詞にしたもので、あちらの合唱団が歌ってくれて私が舞い、涙してくださる方もいました。これこそ、心の交流と感じられた瞬間です。

つづく

文責 珠真女

ワークショップ「黒髪」アンケート

2016-06-05

4月8日、22日、5月13日と3回のわたり開催されたワークショップ「黒髪」には多くの方にご参加いただきました。

皆様にはアンケートにご協力いただきました。

◆ワークショップ「黒髪」アンケート集計結果

 回収数 12

◆今回のワークショップは何でお知りになりましたか?

 チラシ 2

 ホームページ2 (含むチラシとホームページ゛両方1)

 知人、友人から5

 その他4 (案内状2、区民センター1、なし1 無回答1)

◆会場はいかがでしたか?

 大変満足10

 満足2

◆平日の夜という時間設定はいかがでしたか?

 よい11 (よいの回答者の中でもう少し早い夕方でもよい1 夕方七時スタートがよい1の意見あり)

 無回答1

◆3回で『黒髪』1曲、1回2時間の時間設定はいかがでしたか?

 大変満足5

 満足6

 普通1

 意見(とにかく、黒髪の地唄舞を知ることが出来た。倍速でと言いましたら?四倍速とのお答え、なんとなく唄の意味がつかめただけですが)

◆また地唄舞ワークショップに参加したいですか?

 参加したい12

◆参加したいとお答えくださった方にお聞きします。今後舞ってみたい曲などございますか? 重点的に指導してほしいこと等ございますか

 高砂、茶音頭、浮舟 1(一人の方の回答)

 黒髪をもう一度 1

 黒髪を何度も 1

 曲の背景 1

 踊ることよりもっと前のこと1

◆ご意見、ご要望、ご助言等ございましたらお願いします。

・次回から舞台の見方が変わると思います。改めて、黒髪のむずかしさがわかりました。

・地唄舞を舞ったのは初めてでした。2時間×3回で1曲覚えるのは難しかったですが、やりきった! という感じがもててうれしかったです。曲のリズムのとり方が独特で、とても興味深いです。短い時間でしたが、ありがとうございました。

・舞のことが少しでも理解できましたら舞台鑑賞しても楽しめると思います。ジャパニーズダンスと違って舞は美しいがまた違いますね。

・まさか3回で黒髪にちょうせんできるとは思わなかった。良いフットワークにもなるが、足腰をもう少しやわらかくしていた方が踊りやすいかもしれない。

・すばらしいチャンスをありがとうございます。年にたぶん4回ぐらいYou Tube

でみたいと思います。今後、いろいろなものを観る時今までより楽しくなると思います。

・ありがとうございました!!!

・丁寧にお教え頂きありがとうございました。

・分かりやすい指導で楽しく参加させていただきました。ありがとうございました。

・今回はけがの為ご迷惑をおかけしました。次の機会には万全のコンディションで参加したいと思います。

・本当に3回で黒髪がおどれると思いませんでした! 先生の情熱あってのことだと思いました☆☆ ありがとうございました。

・どんどん老化する体を少しでもSTOPできそうで嬉しく思います。重心をしっかりつかみ体幹をきたえる手法を学んだ思いがします。次は脳トレですか……。(振りを覚えて)

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