地唄舞普及協会

地唄舞の歌詞と解説 「や」の行
The YA-row

山姥(やまんば)

歌詞
山巡り一樹の陰や 一河の流れ これみな他生の 縁ぞかし まして我が名を 夕月の 浮世を渡る ひとふしも 狂言綺語の 道すぐに 讃仏乗の 因ぞかし あらおん名残りおしや 暇もうして 帰る山の 山はもと山 水はもと水 ちりひぢ積もって 山姥となる 春は花咲き 紅葉も色濃く 夏かと思えば 雪も降りて 四季折々を 目の前に 山巡り 万木千草も 一日に花咲けり 面白や面白や 鬼女が有様 見るや見るやと 峰にかけり 谷に響きて 今までここに あるよと見えしが 山また山 山巡りして 行方も知らず なりにける
作詞・作曲
世阿弥
解説
世阿弥作の能「山姥」の謡曲を原点とし、地唄舞では、都の百魔山姥という舞の名手が信濃の山中で実在の山姥にめぐり逢い、絵空事でない山姥の苦しみや、その生きざまを前にして己の不明を恥じ、山姥から舞の伝授を受け、名残を惜しみつつ別れるという筋である。花崎流では謡曲の後半を抜粋しこれに端唄をからませ、すんなりと仕上げている。振付には、厳しい自然と闘いながら、たくましく生きてきた山姥の内に秘めた力強さと、もうこの世では二度と会うことはないであろう一夜の客への惜別の情がこめられている。
参考文献

八島(屋島)

解説
地唄筝曲謡物の一種
作詞・作曲
作曲: 藤尾勾当(フジオコウトウ)
歌詞:謡曲「八島」から引用
歌詞
釣りの暇も波の上 霞渡りて沖行くや 海人の小舟の仄々と
見えてぞ残る夕暮れに 浦風さへも長閑にて しかも今宵は照りもせず 曇りもやらぬ春の夜の 朧月夜にしくもの

はなし 西行法師の嘆きとて 月夜は物を思はする
闇は偲ぶによかよか うななぜ出たぞ 来そ来そ曇れ また修羅道の鬨の声
矢叫びの音振動して 今日の修羅の敵は誰ぞ なに能登守教経とや
あら物々しや手並みは知りぬ 思いぞ出づる壇ノ浦の その海戦今ははや
閻浮に帰る生き死にの海山 一同の振動して 舟よりは鬨の声 陸には波の盾
月に白むは剣の光 潮に映るは兜の 星の影 水や空々 行くもまた雲の波
打ち合い差し違う海戦の駆け引き 浮き沈むとせし程に また春の夜の波より明けて
敵と見えしは群れ居る鴎 鬨の声と聞こえしは 浦風なりけり高松の 浦風なりけり高松の 朝嵐とぞ なりにける
解説
長刀八島ともいう。
もとは平安末期の源平の戦いの屋島の戦いを題材にしている。
この戦いは平家物語屈指の名場面の一つ「扇の的」が行われた戦いでもある。