ちょっと地唄舞情報 ~舞扇について~

開閉して使う扇は世界に誇れる日本の発明品です。また、舞には必須のものです。
本日は花崎流でお稽古に使う舞扇についてのお話をします。
扇のことをお話しする前に、先ず初心者の方には閉じた場合の花崎流の舞扇の裏表の見分け方を説明をします。実は、私はお稽古をはじめて何年か経ってから扇に裏表のあることを初めて知って恥ずかしい思いをしました。扇を閉じた状態で柄の出るほうが表、柄の見えないほうが裏になります。舞始めの構えの姿勢で扇を手にしたときに、くれぐれも表と裏を反対にしないようにしてください。写真のように表側に親指がくるのが基本です。
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扇の持ち方の基本は、まず扇の要に薬指をもってきます。この薬指でしっかり掴むのがポイントです。薬指中心に中指と小指の三本でしっかり支え、親指と人差し指には力をいれません。
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扇を持つ場合には、紙の部分を汚さないためいつも骨の部分を持つようにします。
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新しい扇をお稽古に卸すときには、使い始める前に扇の最初の一枚を開いたり閉じたりして少しクセをつけるようにします。その準備をすることで扇を開いたり閉じたりするときに扇が中途半端な場所で開閉するような乱れを防ぐことができます。
 
 
 
 
 
 
花崎流の扇は、杜季女師がデザインされたものです。花崎の紋の雁金が描かれています。雪輪の中に可愛らしい二羽の雁が飛んでいます。この二羽のくちばしをよく見ると幸福があるようにということで阿吽になっています。
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親骨はしっかりしていますが、中骨は薄めになっています。これは男性より小さな女性の手になじみのいいようにという配慮から杜季女師が宮脇賣扇庵さんに注文なさったとのことです。地唄舞の扇には女性らしい繊細な動きに添うようなものが求められます。
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杜季女師は「扇とお友だちになるように」「扇と手が一体になるように」「六本目の指のように」と仰います。扇を自分の身体の一部のようにしぜんに動かすようにしなければいけません。扇遣いは舞の基本ですが、すぐに上達するものではありませんので、手にすいつくようになるまで、ひたすらお稽古を積み重ねるしかありません。
文責 珠真女