菊の露

鳥の声 鐘の音さえ身にしみて 思い出すほど涙が先へ 落ちて流るる妹背の川を と渡る船の楫だにたえて 甲斐もなき世と恨みて過ぐる 思わじな 逢うは別れといえども愚痴に 庭の小菊のその名に愛でて 昼は眺めて暮しもしょうが 夜々ごとに置く露の 露の命のつれなや憎や 今はこの身に秋の風