ちょっと地唄舞情報 ~六瓢庵~

 

六瓢庵について

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この度、花崎杜季女師は三鷹に新しいお稽古場「六瓢庵」(むびょうあん)を開設なさいました。

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※新しいお稽古場の竣工おめでとうございます。この六瓢庵と名付けられた新しいお稽古場のお話をお聞かせください。
 
╶─以前から願っていた新しいお稽古場を作ることが実現しました。今回この六瓢庵を作りました目的は二つあります。
一つは、地唄舞花崎流の常設公演のできる場所を作りたいということがありました。花崎流の地唄舞をもっと身近に知って鑑賞していただける場所が欲しかったのです。
現在日本で地唄舞専用の常設舞台は殆どありません。そのためいつもどこかの会場をお借りする必要がありましたが、会場とこちらの日程を調整するのが大変でした。またお借りする場合はそれなりに費用もかかります。
もし自前で地唄舞の舞台をもつことができたらたとえば月に一回でも定期的に地唄舞を観ていただくことができます。企画によってはワンコインで気楽にいらしていただくことも可能になります。
もう一つの目的は、六瓢庵を地唄舞だけでない総合的な「和の発信」場所にしたいということです。ピアノなど洋楽を楽しむサロンはたくさんありますが、「和」に特化した場所はなかなかありません。たとえば尺八の演奏なども、敷居が高くてなかなか聴きにいけないというようなお話を伺います。そういう和の伝統芸能を肩肘張ってホール等に行かなくても、ご近所の家を訪ねるような感じで鑑賞しに来ていただけたら素敵だと思いました。もともと日本の伝統芸能は規模の大きな場所で鑑賞するものではありませんでしたから、そういうものを作りたかったのです。
敷居を少しだけ低くして、和のほんものを一人でも多くの方に観ていただき親しんでいただきたいと思います。ただし、公演内容の質は決して落とさず、最良のものを目指していきます。
 
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※なぜ三鷹を選ばれたのでしょうか。
╶─たまたま三鷹の駅から二分ほどの場所に私の母が家を持っていたのですが、長く利用していなかったのでここを改築することにいたしました。土地を購入して一から建てるということならとても実現できなかったと思います。
現在のお稽古場の高輪とは逆方向なのですが、色々な地区で地唄舞のお稽古場があることは良いことです。裏手には故丹羽文雄さんのお宅があるような住宅街で住人の方がとても街を大切になさっています。花崎流にとって初めてのこの武蔵野地区での活動を楽しみにしています。
 
※どのくらいの広さになりますでしょうか。
╶─客席は六十名くらい、詰めれば百名ほどは入れると思います。和の伝統に添ってマイクなどの器械をいれないで音の響く空間にしました。椅子席は入れ込み式の階段状で、三十数席、まわりに椅子を並べ、あとは座布団を用意しています。天井が高くて四メートルほどあります。
床は檜になっています。背面の襖は屏風風で上から吊り下げる方式です。襖の後は舞台の背後が通れるようになっています。和のお稽古の伝統を大切にしたかったので、あえて鏡はつけていません。
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※まさに檜舞台なのですね。お話しを伺うだけでも素晴らしい六瓢庵で、十二月三日の門下生の会が楽しみです。この六瓢庵という名前にお決めになったのはどういう理由でしょうか。
╶─家族がいくつか考えた中から、他の施設で使われていない名前を選びました。
※「無病息災」も願える縁起も良いお名前です。先生を支えるご家族の皆様の愛を感じます。
╶─そうですね。夢が実現したのは家族の助けがあってのことで、私はとても恵まれていると思います。
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※この新しいお稽古場で先生の今後予定なさっていることを教えてください。
╶─まだスタートしたばかりですが、今後は門下生の皆さんと一緒に色々な企画を考えて運営していきたいと思います。場所の出来た強みを生かしていきます。
お弟子さんの個人的な舞の会なども今までより開きやすくなりますので良い修行になるでしょう。舞の本番の場数を踏むことは大切です。また、ひとに教える経験は上達への一番の道ですから、そういう指導場所として使っていただいてもよいのです。近くに桜並木がありますので花の季節に花見の舞の会などもよいと思っています。
東京オリンピックを前に、東京都も和文化の発信を奨励しています。海外の日本の舞に関心のある方にも、ワークショップやホームステイのようなかたちで場所を提供したいと考えています。現在の高輪のお稽古場より広いので一度に大勢でのお稽古も可能です。外国から観光にいらした方に地唄舞を一日体験していただくことなど、少しでも和文化発信のお役に立ちたいと思います。
 
※先生は地唄舞普及に非常に熱心に貢献されていると思います。毎年同じことを単調に繰り返しているのではなく、舞においても普及活動においても、着々と新しい企画をお考えになって前進していらっしゃいます。今回地唄舞経験のない方含めて、国立劇場の舞台に立ちましょうという新しい企画もわくわくするものです。
 
╶─こういう企画は六瓢庵が完成したので可能になったことです。大人数でお稽古できるスペースができました。
私は舞を習い始めてたった六か月で神崎ひで師に舞台に立たせていただきました。そのくらいひで師のご指導は徹底していらしたので、今も感謝に耐えません。
今回は稽古はじめから国立劇場の舞台本番まで十か月あります。六瓢庵で定期的にお稽古して初心者の方でもきちんとした舞台に立っていただけるレベルになるように、私にとりましても指導者としての新しい有意義な挑戦だと思っています。
国立劇場の舞台に立つということは敷居が高いと思われていますが、費用を明確にしていることで安心して参加していただけるでしょう。衣裳、鬘、お化粧なども超一流のスタッフがお手伝いしてくださいます。ご参加くださった皆様には、是非最高の舞台で日本の美を体験して、喜んでいただきたいと思います。           (文責 珠真女)
舞台があなたを呼んでいる表