水鏡

ひとめも知らぬ男なら 恨みも恋も有るまいものを なまぜ近江の水鏡 写して見れば水底は かたい堅田の石山に きつうのせたに わしゃのせられて 思ひすごしは我からさきの ひとつ前帯しどけない振りよ たとえあはずと三井寺の かねては思ひ入る崎の 矢橋の風に比良の雪の暮れ 実なれどもいたずら髪の いふに云われぬ世の中の人のうわさも七十五日 浮名きのどくの山ほととぎす はてそうじゃわえ はてそうじゃわえ 末はひとつのもとの水